社会からのニーズにこたえる

基調講演

基調講演@

「チーム学校」の充実を目指して 〜学校心理士の役割と課題〜

日本学校心理士会会長 石隈利紀(東京成徳大学)

 

 2015 年に「チームとしての学校の在り方と改善方策(答申)」が文部科学省中央教育審議会から出されました。また同年「公認心理師法」が交付されました。教師、SC、SSW、特別支援教育などの専門スタッフによるチーム体制が支える学校教育に、注目が集まっています。「チーム学校」がめざす3つの柱は、1専門性に基づくチーム体制(横の連携)の充実、2学校教育におけるマネジメント(縦の連携)の強化、3教職員の働く環境(場)の改善です。1のチーム体制では、学校、家庭(保護者)、地域の連携が必須になります。2のマネジメントと3の教育環境の改善では、一人ひとりの教職員(援助者)を活かすシステムを構築することが必要です。「チーム学校」は子どもの教育の質を向上するために、きわめて重要な概念です。一方123の柱が歪んでしまうと、教師、SC、SSWらの仕事の分断、地域の専門機関へのまるなげという状況になります。「チーム学校」の成功の鍵の一つは、「教師・スクールカウンセラー・保護者らのチーム」や「管理職を含む援助サービスのシステム」で、子どもの学校生活の質(QOSL)の向上にむけた心理教育的援助サービスを実践してきた「学校心理士」が握っています。チームで仕事をする資質とコーディネーターの力をもった教師、SC、特別支援教育担当などとしての「学校心理士の役割と課題」について、お話しします。

シンポジウム概要

大会シンポジウム@

マイノリティの子ども達への心理教育的アプローチを考える

―LGBT・ディスレクシア・貧困・夜尿症の子ども達へ焦点をあてて―


<企画者>
新井邦二郎(東京成徳大学)
田村節子(東京成徳大学)

 

<司会者>
新井邦二郎(東京成徳大学)

 

<話題提供者>
梅宮れいか(福島学院大学)
砂長びん (社会貢献ショップ経営/ヘアメイクアップ事務所経営)
吉本恭子 (高知市立西部中学校教頭)
田村節子 (東京成徳大学)

 

 本シンポジウムでは学校生活の質(Quality of School life)が著しく低下しているマイノリティの子どもたちをとりあげる。マイノリティの子どもたちの現状や正しい知識を知った上で、SOS を発しずらい子ども達をどのように発見しどのように関わっていくのかについてあらためて議論し、今後の学校心理士としての支援の糸口としたい。
 本シンポジウムでは、立場の異なる4名にご登壇いただく。
 梅宮れいか氏からは LGBT についてこれまでの研究の知見や子ども達への必要な配慮等について率直に語っていただく。砂長びん氏からは、ディスレクシア(発達障害)の当事者としての困り感をもとに今後の子ども達への援助について語っていただく。吉本恭子氏からは、厳しい貧困家庭の中で生活する子ども達への抱負な援助実践からその現状と必要な援助について語っていただく。企画者のひとりである田村節子からは、夜尿症児と親へのカウンセリングの実践から現状と必要な援助について語る予定である。
 その後会場の皆様との議論を深めマイノリティの子ども達への心理教育的援助サービスについて具体的に考えたい。

 

 

大会シンポジウムA

多職種の協働による子どもへの心理教育的援助サービス

―「チーム学校」における公認心理師の活動を踏まえて―


<企画・司会>
山口豊一(跡見学園女子大学)

 

<話題提供者>
田中大介(昭和大学)
半田一郎(茨城県SC)
鈴木庸裕(福島大学大学院)
山口豊一(跡見学園女子大学)

 

<指定討論者>
松嵜くみこ(跡見学園女子大学)

 

 本シンポジウムでは学校生活で苦戦している(不登校、いじめ、発達障害をかかえて)子ども達をとりあげる。学校生活で苦戦している子ども達の現状を正確に把握した上で、「チームとしての学校(チーム学校)」が、多職種と協働して子どもを援助する「チーム援助」の課題とこれからの方向性を議論し、2015年9月に公認心理師法が交付されたことを踏まえて、今後の学校心理士としての支援の糸口としたい。本シンポジウムでは、立場の異なる4名に登壇いただく。
 田中大介氏からは医療の立場から、これまでの研究の知見や子ども達への必要な配慮等について語っていただく。半田一郎氏からは、心理の立場から困り感をもつ今後の子ども達への援助について語っていただく。鈴木庸裕氏からは、福祉の立場から貧困家庭の中で生活する子ども達への援助の現状と課題について語っていただく。企画者である山口からは、教育の立場から、「チーム援助」の実践と課題について語る予定である。
 その後会場の皆様との議論を深め苦戦する子ども達への心理教育的援助サービスについて具体的に考えたい。

 

 

 

大会シンポジウムB

学校へのコンサルテーション

―学校現場への具体的支援について考える―


<企画・司会>
井ノ山正文(逗子市教育研究所)

 

<話題提供者>
宮下佳子(東京都東久留米市SSW)
亀井哲宏(東京都・埼玉県公立学校 SC)
古賀元貴(なごや子ども応援委員会 SC)
石澤方理(逗子市巡回 SC)

 

<指定討論者>
西山久子(福岡教育大学)

 

 本シンポジウムでは、学校現場へのコンサルテーションについて検討する。学校現場における心理教育的援助サービスは、児童生徒のQOSL(Quality of School life)を向上させていくためには欠かせないものとなっている。そして、心理教育的援助サービスを具体化していくためには外部の専門家を学校教育の現場に導入していくことも求められている。
 しかし、外部の専門家が学校現場へ介入するには多くの障壁があり具体的なコンサルテーションが困難なケースも多い。これは、学校組織に起因する課題やコンサルテーションという取組に馴染んでいない学校文化が影響していると考えられるのである。本シンポジウムでは、学校へのコンサルテーションを日常的に行っている4 名の方々にシンポジストをお願いした。
 宮下佳子氏からは、SSW として学校と地域を繋ぎつつニーズのある児童生徒への援助及びコーディネートを中心にお話しいただく。亀井哲宏氏からは、SC として取り組まれている中での気づきや知見についてお話しいただく。古賀元貴氏からは、「なごや子ども応援委員会」におけるいじめや不登校につながる問題の未然防止・早期発見や個別支援についてお話しいただく。石澤方理氏からは支援教育を推進する巡回SC の立場から個と集団のアセスメント及び援助についてお話しいただく。各氏それぞれの立場からの提案を受けた後、会場の皆様との議論を深めたいと考えている。議論のなかで学校における心理教育的援助サービスの在り方について具体的な方向性を見出すことができればと思う。また、指定討論者は西山久子氏にお願いした。チーム援助の視点を含みながら学校支援の在り方、コンサルテーションンの実際について各シンポジストから提案された話題及び参加者からの発言等を踏まえてのお話をいただく予定である。

 

研修概要

「身体を通じた怒りの制御」

湯川 進太郎(筑波大学)

 

 「怒り」という感情は,基本感情の一つといわれています。私たち人間にとって,生活上,必要不可欠な感情です。もし怒り感情がなければ,私たちは不当に扱われたり,権利や生命を脅かされたりしてしまいます。ただ,怒り感情のままにふるまってしまうと,大切な人間関係を壊したり,相手に怪我をさせたりしてしまう場合もあります。したがって,怒り感情をなくそうとするのではなく,どううまくつきあっていくかが重要となってきます。本講演では,怒りとの上手なつきあい方として,マインドフルネスをご紹介します。マインドフルネスとは,「今,この瞬間の体験に意図的に意識を向け,評価をせずに,とらわれのない状態で,ただ観ること」と定義されます。このような態度で怒り感情と接することで,上手につきあっていくことができるようになります。マインドフルネスは,実際には,呼吸や身体を手がかりにした稽古を積み重ねることで,徐々に養われていきます。ここでは,マインドフルな態度で怒りとつきあうとはどのようなことか,普段からそうした態度をどのように練っていくかについて,実践的なワークも交えながらお話します。

 

 

KABC-Uの特徴と新しい知能論 CHC理論に基づく知能検査の併用について

小野 純平(法政大学)

 

 KABC-Uは認知能力を測定する認知尺度と読み、書き、算数などの基礎学力を測定する習得尺度の2つの尺度からなる新しい検査である。認知能力と基礎学力を1つの検査内で測定することができることから、特別支援教育、とりわけ学習障害の教育的支援において活用されることが期待される。また、KABC-Uは、K-ABCから継承したルリアの神経心理学理論を基盤とするカウフマンモデルに加え、Cattell-Horn-Carroll(CHC)理論に基づくCHCモデルという新しい解釈モデルを導入したことにより、CHC理論を用いた相補的な他検査との併用法であるクロスバッテリーアセスメント(XBA)アプローチの導入が可能となった。
 本講演では、KABC-Uの概要とその活用について説明するとともに、XBAを用いたWISC-Wとの併用について解説する。

 

 

脳科学から見た発達障害

榊原 洋一(お茶の水女子大学)

 

 脳科学の中でもっとも顕著な発達は、脳のイメージ画像技術の進歩です。様々な脳内の活動をリアルタイムで見ることができるようになり、言語や感情といった従来の神経科学の手法では確認することのできなかった脳内の活動の場を知ることが可能になったのです。
自閉症や学習障害といった、従来は症状と脳内部位を結びつけることができなかった発達障害の脳内局在も見ることができるようになりました。
 講演では発達障害の理解に役立つ脳内の活動の様子について概説します。

 

 

学習支援とコーチング

山谷 敬三郎(北翔大学)

 

 本研修講座では、コーチングについての全体的な理解をもとに、日常の教育実践に活用できるスキルを修得できる内容を中心に解説しようと考えています。コーチングは、従来ともすると指導者が気づかずに行っている指示命令型中心のコミュニケーションに、問答型のコミュニケーションを取り入れ、子ども達が自分なりに考えることができるように支援する考え方であるとともに、その技術体系を指します。子ども達の思考を大切にし、子ども達のもっている潜在能力を引き出し、自己肯定感を高めることに効果的です。はじめに、コーチングの起源とコーチングが様々な分野や日本に導入された背景を解説します。次に、コーチングの理論とキーワード、その進め方について、学習指導との関連を踏まえて解説します。また、コーチングは学習指導場面だけでなく、カウンセリングの手法としても活用できます。カウンセリングの進め方との共通点と相違点に触れ、それらの理解を基盤にして、学習指導、生徒指導、教育相談など、日常の教育活動に生かすスキルを解説します。

 

 

学校危機予防を目指したピア・サポート キャリア発達の視点をふまえた子どもと教師の成長のために

西山 久子(福岡教育大学)

 

仲間との支え合いを育むピア・サポートは,どの学年でも子どもの自立性を高めるために有益とされてきた。子どもたちが自分の周りに必要なサポートシステムを構築し,将来に向け,新たな出会いを豊かに育めるような力をつけることは,子どもの社会適応のために必要であり,危機を予防することにもつながるものといえる。
また,学校危機の具体的な項目に対して,対処がなされているかを検討し,学校危機予防の推進状況をふまえて取組を実践し,校内体制・推進プログラムを構築し,そして個々の児童生徒の成長を適切に評価することもまた有効である。さらに,教員の年齢構成の激変期にあって,教員間においてもピア・サポートの視点をもつことは重要であるといえる。
 本研修では,主に心理的危機予防の観点から,学年・学級単位や,校内の委員会単位で展開できるピア・サポートについて,新たな実践の在り方を含め検討する。具体的には学校危機予防に向けて,@学校危機予防チェック,Aピア・サポートトレーニングの具体例,B推進のための校内体制づくり,C学校危機予防につながるピア・サポートの実施計画,Dキャリア発達の視点からの評価の5項目について主に取り上げる。

 

 

コーディネーターの仕事から学んだこと 〜学校力と幸せに生きる力〜

安部 博志(筑波大学付属大塚特別支援学校)

 

 私は、地域のコーディネーターとして1万ものクラスを観てきた。支援を要する子どもが適応できるクラスには共通点があることに気づいた。教室の空気が軽い。環境が整えられていて居心地がいい。教師の注意や叱責が少ない。授業が分かりやすくて魅力的である。学び合いの学習が展開されている。お互いの多様性を認め合う雰囲気がある。教師のチームワークとフットワークがいい。このようなクラスや学校には、いじめや不登校、学級崩壊も少ない。
 継続的に支援してきた子ども達も、すでに青年期である。彼らを観てきて感じるのは、知識やスキルをいくら高めても、それだけでは幸せにはなれないという事実である。支援の併せ技として、「幸せに生きる力」をつけてあげることが不可欠である。すなわち、意欲がある、趣味や生き甲斐をもっている、自分が好き、自己決定できる、人と折り合いをつけることができる、困った時に周囲に援助を依頼できる、不安や怒りを抑制できる、辛い時に自他にドンマイと言える、周囲の役に立っている自分を実感できる・・・つまり、自分自身がOKだと思えるように導くことである。

 

 

子どもの学びと授業

秋田 喜代美(東京大学大学院教育学研究科)

 

 子どもたちの学習を学校の中で支えていくためには、授業の中で子どもたちが具体的にどのように学んでいるのかという学習過程、理解過程に関わる情報をどのようにして教師が授業中に得るのか、また授業をどのように観て振り返り、支援をするのかを学校全体で考えていくことが重要なカギとなるだろう。そのためには、まず第一に、学習課題、子ども同士の対話を介した関わり、そして理解の質や水準を捉える視点の理解から授業づくりを考えることが大切となる。アクティブラーニングの名の下で、授業展開の方法や形態も変わってきている。特に今回は協働的に学びあう授業における学習の支援ということについて、教育心理学の知見とともに、教師たち自身が取り組んできた実践の知見をもとに事例をベースに考えていく。また第二には、家庭や地域間での格差なく、各クラスで落差なく、そして学校種の段差なくより深い学びを保障するためには専門家の連携が必要である。学校づくり、学校間の連携事例から生徒、教師を支える連携ネットワークについて考えたい。本研修では第一を軸にしながらその発展として第二の点も考えていく予定である。

 

 

子どものストレスと心身の不調へのアプローチ

飯田 俊穂(昭和大学医学部)

 

近年、心身の不調に対する相談や医療機関(心療内科など)を訪れるこどもたちが増え、さらに低年齢化が進んでいる。特に「心身症」と言われるストレス・疲れが頭痛、腹痛、めまい、動悸などの身体症状として出現してくるもの、自律神経のアンバランスからくる多彩な症状を訴える場合、また元気がなくなったり、落ち着かなかったり、すぐ切れたり、不登校状態となったり、など様々である。実際には医療現場の対応だけでは難しく学校の教師・養護教諭、カウンセラー、心理士、コーディネーターなどが個別やチームで対応したり、さらに家族、地域、社会などの緊密なネットワークを作り支え、連携し協働していくことが求められている。
今回の研修では、近代化や都市化など急速に変化する状況の中で物は豊かになり便利に合理化され、さらに複雑に過剰なまでの情報であふれている社会の中で、現代っ子の身の上には今、どんなことが起こっているのか?ストレス要因は何か?ストレスにより心や体はどうなるのか?その対策や対応について具体的に事例を提示しながら一緒に考えていきたいと思います。

 

 

「助けを求めること」を助ける ―援助要請カウンセリングからの提案

水野 治久(大阪教育大学)

 

 学校心理士は,学校現場に深く入り,援助サービスを展開できることにその活動の特徴があると思われる。「来談」によるカウンセリングだけにサービスを限定していない。学校現場は,多くの課題があるが,中でも子どもの多様なニーズや保護者の要求に対応することに学校側が疲弊している現状がある。また,自分の問題に直面する「相談」という行為は,ある程度問題が整理されていないとできない。つまり,本当に困ると私たちは助けを求められなくなってしまうのではないだろうか?福祉,医療などのサービスにどう繋げるかが今の学校現場の援助のテーマではないだろうか?
 この研修では,「援助要請」をキーワードに,どのように子どもや保護者,教師が助けを求められるようになるかについて講義する。援助要請研究が盛んな豪州の相談システムについても紹介する。事例を用いながら実際の学校コンサルテーション場面を再現し,チーム援助について「援助要請」という概念から迫りたい。

 

 

インクルーシブな学校づくりの軸としての「対話的な関係性」 〜高等学校の実践からの理論化の試み〜

中田 正敏(明星大学)

 

 「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」がまとめられ、また、次期学習指導要領等に向けた動きの中で「主体的・対話的で深い学び」などの新しいコンセプトが打ち出されている。さらに、障害を理由とする差別の解消の推進に法律」も施行に伴い、合理的配慮の提供に向けての「建設的対話」が組織的な取り組みの課題となっている。こうした様々な課題に対応できる新たな学校組織の在り方が問われている。
 AAMRマニュアル(2002)では支援論、同(2009)では組織的支援論が構築されている。また、イギリスの‘Index for Inclusion(2002)’においては、インクルーシブ教育の推進のプロセスが追究されている。この2つの海外の動きの中でも、インクルーシブな組織においては「対話」の果たす役割が重視されている。
 こうした視点を参考にしつつ、高等学校における「対話」を軸とした具体的な実践の事例を紹介し、まずは学校内の生徒、教職員、保護者のあいだの「対話的な関係性」の形成が「インクルーシブな学校づくり」には不可欠であり、その関係性が拡張される中で、「外部資源」が包摂されることによって「支援ができる組織」づくりが可能となることを明らかにする。

 

 

子どもの心理的問題と家族の関係

大河原 美以(東京学芸大学)

 

 子どもの心理的問題のほとんどは、不快感情を適切に処理することを学ぶプロセスにおけるつまずきであるといえる。きれて暴れる場合も、攻撃性をいじめるという行為で表現する場合も、不安が身体化して腹痛で動けなくなる場合も、外界に対して過剰に恐怖を感じてしまう場合も根底にあるものは共通している。不快な感情があふれてくる体験をしたときに、その子どもの不快感情を親や教師がどのように扱うのかということ、そのことが、子どもの不快感情に対する防衛の方略を規定してしまう。つまり、子どもが泣いたりぐずったりすることに対して、大人が強く子どもの感情を制御しようとする関わりは、そもそも脳の中での調整機能として生じているはずの不快感情を封印する防衛を活性化させ、結果として子どもの脳の中の不快感情制御の機能が働かない状態を生みだしてしまうのである。そのような子どもたちは安易に「発達障害」とラベルされる傾向が強い昨今だが、不快感情制御の能力は、親子関係を支援することで修復可能なものである。本研修では、特に、夫婦関係における葛藤(不快感情の制御)が、子どもにどのように影響を与えるのかという点に焦点をあてて、事例を提示する。

 

 

キャリア教育と学校教育相談

三川 俊樹(追手門学院大学)

 

 キャリア教育は、子どもや若者の社会的・職業的自立に向けて、一人ひとりのキャリアを形成するために必要な能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育であり、発達段階に沿った計画的・継続的な学習プログラムを基盤に、個別対応を重視したキャリア・カウンセリングを活用して、体験的活動等を中心としたさまざまな教育活動の中で展開される。また、キャリア教育は、学校教育相談と同じく、学校教育活動の一環であり、子どもの発達段階と発達課題をふまえた開発的・予防的な援助の視点が強調されるほか、キャリア発達を促進するための学習プログラムの実施と、個別対応のキャリア・カウンセリングは教師が担い、教師と児童生徒との日常的な人間関係を基礎にした適切なコミュニケーションとして展開される。今回の研修では、キャリア発達を促すキャリア教育と学校教育相談との接点を確認しながら、教師が担うキャリア・カウンセリングを理解するための講義と、そのポイントを体得するための演習を、「語る・語らせる・語り合わせる」というキーワードを中心に展開したい。

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